FXの確定申告のやり方|令和8年分のe-Tax手順と税額の計算例
※この記事にはアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を含む場合があります。確認日:2026年10月29日
結論
- 国内の店頭FX(金融商品取引業者などが相手の取引)も、くりっく365のような取引所FXも、利益は「先物取引に係る雑所得等」として、給与などと分けて税金を計算します(申告分離課税)。税率は所得税15%・復興特別所得税(所得税額の2.1%)・住民税5%で、合わせて20.315%です。
- 令和8年分(2026年1月〜12月の取引)の確定申告の期限は、2027年3月15日(月)です。会社員で給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告は不要な場合がありますが、住民税の申告は別に必要とする自治体があります。
- 損失は翌年から3年間繰り越せますが、損失の年もその後も、毎年続けて申告することが条件です。e-Taxなら国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から自宅で提出できます。
この記事は、申告の「やり方」に絞っています。申告が必要かどうかの判断はFXの確定申告は必要?本人の条件から確認する手順で詳しく整理しています。個別の税額や申告の要否は、税務署または税理士に確認してください。
FXの税金のしくみ(国税庁の案内)
対象になる取引
国税庁のタックスアンサーNo.1521では、FX(外国為替証拠金取引)の差金決済による利益のうち、次の取引を「先物取引に係る雑所得等」としています。
- 市場デリバティブ取引(取引所で行う取引。くりっく365などの取引所FXが当たります)
- 店頭デリバティブ取引のうち、「第一種金融商品取引業者」または「登録金融機関」を相手方とする取引(国内のFX会社の多くがこれに当たります)
この条件に当てはまらない取引(たとえば国内で登録していない業者との取引)の利益は、一般に総合課税の雑所得になり、給与などと合計して累進税率で計算するとされています。取引先が登録業者かどうかは、金融庁の登録業者一覧で確かめられます。
税率と、ほかの所得との関係
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所得税 | 15% |
| 復興特別所得税 | 所得税額の2.1%(令和8年分の場合) |
| 住民税(地方税) | 5% |
| 合計 | 20.315% |
| 損益通算 | ほかの「先物取引に係る雑所得等」(別のFX口座、くりっく365、日経225先物など)とは通算できます。給与・事業・株式などとは通算できません。 |
| 繰越控除 | 通算しきれない損失は、翌年以後3年内の「先物取引に係る雑所得等」から差し引けます(要件あり)。 |
国税庁の同じページには、令和9年1月1日以後に生じる所得について、復興特別所得税の税率を1.1%に下げ、あわせて防衛特別所得税を課す改正が書かれています。2027年3月に出す令和8年分の申告は、これまでどおり2.1%で計算します。令和9年分の具体的な扱いは、来年の手引きで確かめてください。
令和8年分で変わった点
財務省の令和8年度税制改正の解説では、令和8年分から基礎控除(本則)が58万円から62万円へ、給与所得控除の最低保障額が65万円から69万円(特例でさらに上乗せ)へ見直されています。これは給与などの総合課税の計算に関わる改正で、FXの申告分離課税の税率(20.315%)は変わっていません。会社員の方は、年末調整の結果(源泉徴収票)が例年と違って見えることがあるため、申告の前に源泉徴収票の数字をそのまま転記するようにしてください。
申告が必要か・期限はいつか
会社員の「20万円」の扱い
国税庁のタックスアンサーNo.1900では、給与を1か所から受けていて全部が源泉徴収の対象になる人は、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える場合に確定申告が必要とされています。言いかえると、FXの所得(利益から必要経費を引いた額)とほかの副収入の合計が20万円以下なら、所得税の確定申告をしなくてよい場合があります。
ただし、これは所得税の話です。名古屋市の案内では「市民税・県民税には、所得税のような申告の省略範囲はなく、原則としてすべての所得を申告する必要があります」としています。所得税の確定申告をしない場合は、住所地の市区町村に住民税の申告をする必要があるかを確認してください。所得税の確定申告をすれば、その内容が市区町村に回るため、住民税の申告を別に出す必要はないとされています。住民税の申告の窓口や期限は、自治体ごとの案内で確かめてください。
また、医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする年は、20万円以下のFXの所得も申告書に含めて書くのが原則とされています。迷う場合は税務署に確認してください。
令和8年分の期限
| 手続き | 日付 |
|---|---|
| 確定申告の期限・納付の期限 | 2027年3月15日(月) |
| 振替納税の引き落とし日 | 2027年4月23日(金) |
| 還付申告(税金が戻る申告) | 2027年1月1日から5年間出せます |
期限と振替日は、国税庁「納付期限と振替日」の令和8年分の欄で確かめました。令和8年分の確定申告書等作成コーナーの公開日は未発表です。
年間取引報告書の見方
FX会社は、1年分の損益をまとめた「年間取引報告書」(会社によって「年間損益報告書」など名前が違います)を出しています。申告ではこの報告書を基に数字を拾いますが、項目の名前や、手数料・スワップを合計に含めるかどうかは会社ごとに違います。次の順番で確かめると、読み違いを減らせます。
| 見る順 | 確かめること | よくある間違い |
|---|---|---|
| 1. 対象期間 | 2026年1月1日〜12月31日の分か | 月次の報告書と年間の報告書を足してしまう |
| 2. 決済損益(売買損益) | 決済した取引の損益の合計 | まだ決済していない評価損益を入れてしまう |
| 3. スワップ損益 | 決済時に受け取った(支払った)スワップの合計 | 決済損益にすでに含まれているのに二重に足す |
| 4. 手数料 | 取引手数料が合計に含まれているか | 含まれている手数料を経費としてもう一度引く |
| 5. 合計(差引損益) | 1〜4を合わせた年間の損益 | 入金額・出金額を利益や損失と考えてしまう |
報告書の詳しい取り方や読み方はFXの年間取引報告書|取得と読み方で説明しています。口座が複数あるときは、全口座の報告書をそろえてから合計します。
税額の計算例(すべて仮の数字)
ここでは、FXの所得だけを取り出した税額の目安を計算します。実際の申告では、課税される所得の1,000円未満の切り捨て、給与から天引きされた税金との精算、申告する税額全体の100円未満の切り捨てなどがあり、金額は少し変わります。
例1:会社員で、FXの利益が年50万円
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| FXの所得 | 年間損益(必要経費なし) | 500,000円 |
| 所得税 | 500,000円×15% | 75,000円 |
| 復興特別所得税 | 75,000円×2.1% | 1,575円 |
| 住民税 | 500,000円×5% | 25,000円 |
| 合計の目安 | 所得税等は100円未満切り捨てで76,500円 | 101,500円 |
給与以外の所得が20万円を超えるので、所得税の確定申告が必要な場合に当たります。
例2:会社員で、FXの利益が年15万円(ほかに副収入なし)
給与以外の所得が20万円以下なので、所得税の確定申告は不要な場合があります。ただし住民税の申告は別に必要とされることがあり、そのときの住民税は150,000円×5%=7,500円が目安です。医療費控除などで確定申告をする年は、この15万円も含めて申告すると、所得税と復興特別所得税(22,500円+472円)もかかる計算になります。
例3:口座が3つあるとき
| 口座 | 取引の種類 | 年間損益 |
|---|---|---|
| A社 | 店頭FX | +400,000円 |
| B社 | 店頭FX | −100,000円 |
| C社 | くりっく365 | +50,000円 |
| 合計 | どれも先物取引に係る雑所得等 | +350,000円 |
3つとも同じ区分なので通算でき、所得は35万円です。税額の目安は、所得税52,500円、復興特別所得税1,102円、住民税17,500円です。
例4:損失を繰り越すとき
| 年分 | その年の損益 | 繰越損失を引く額 | 課税される所得 | 翌年へ残る損失 |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年分(2025年) | −300,000円 | − | 0円 | 300,000円 |
| 令和8年分(2026年) | +120,000円 | 120,000円 | 0円 | 180,000円 |
| 令和9年分(2027年) | +250,000円 | 180,000円 | 70,000円 | 0円 |
令和7年分の損失は、令和8年分・9年分・10年分の3年間で使えます。この例では令和8年分の利益が12万円で20万円以下ですが、繰り越しを続けるには令和8年分も確定申告をする必要があります。国税庁のタックスアンサーNo.1523では、損失が出た年に「申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)」と計算明細書を付けて申告し、その後も連続して付表を付けた確定申告書を出すことを条件としています。手順はFXの損失繰越|適用条件と3年間の申告手順で詳しく説明しています。
e-Taxで申告する手順
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」の操作の手引き(令和6年分・パソコン版)に書かれた流れを、FXの申告に当てはめると次のとおりです。令和8年分の画面は未発表のため、名前や順番が変わる場合があります。
| 順 | 画面・操作 | FXで入れること・注意 |
|---|---|---|
| 1 | 「作成開始」を押す | 前年のデータ(.data)があれば読み込めます。損失を繰り越している人は前年の付表の数字を手元に置きます。 |
| 2 | 提出方法を選ぶ | マイナンバーカードでe-Tax送信、ID・パスワード方式でe-Tax送信、印刷して書面で出す、から選びます。 |
| 3 | 作成する申告書で「所得税」を選び、ログインする | マイナポータル連携は任意です。ID・パスワード方式では使えません。 |
| 4 | 申告する所得を選ぶ | 給与のほかに、分離課税の「先物取引に係る雑所得等」を選びます。 |
| 5 | 収入・所得の入力 | 年間取引報告書の数字を、画面の説明に従って入れます。繰越損失がある人は前年までの損失額も入れます。 |
| 6 | 控除の入力 | 社会保険料控除・医療費控除などを入れます。 |
| 7 | 計算結果の確認 | FXの税額が想定と大きく違うときは、評価損益や入出金を入れていないか見直します。 |
| 8 | 納付方法・住民税に関する事項の入力 | 納付がある場合は振替納税などを選びます。 |
| 9 | 基本情報・マイナンバーの入力 | 住所・氏名などを入れます。 |
| 10 | 送信前の確認→送信 | 帳票のイメージで内容を確かめてから送信します。 |
| 11 | 送信結果の確認と保存 | 「正常に送信が完了しました」を確かめ、申告書の控えと入力データ(.data)を保存します。翌年の繰越計算に使います。 |
途中でやめるときは、画面下の「ここまでの入力内容を保存」で保存すると、あとで続きから作れます。
申告で気をつけること
- 評価損益は入れない:年末に持ち越したポジションの含み益・含み損は、決済するまで所得になりません。
- 入金・出金は利益ではない:口座に入れたお金や引き出したお金は、そのまま損益にはなりません。
- 経費は根拠を残す:パソコン・通信費などは、私用との区分と根拠が必要とされます。
- 区分が違う取引を混ぜない:国内の登録業者以外との取引は、総合課税の雑所得になり、FXの通算や繰越の対象になりません。
- 税金分のお金を残す:利益が出た年は、例1のように住民税も含めて利益の約2割が税金になります。証拠金を増やすときは、納付分を別にしておくと安心です。
取引の数量や証拠金の考え方を見直したい方は、FX会社の比較のページで、最小取引単位などの条件を確かめてから口座を選んでください。
よくある質問
Q. FXで損をした年も確定申告をしたほうがよいですか?
A. 翌年以降に損失を繰り越したいなら、申告が必要です。損失の年に付表を付けて申告し、その後も連続して申告することが繰越控除の条件とされています。
Q. 利益が20万円以下なら、何もしなくてよいですか?
A. 所得税の確定申告は不要な場合がありますが、住民税の申告は別に必要とする自治体があります。住所地の市区町村の案内を確認してください。
Q. 店頭FXとくりっく365の損益は合算できますか?
A. どちらも「先物取引に係る雑所得等」に当たるなら、通算できます。株式の譲渡損益や給与とは通算できません。
Q. 令和8年分の申告はいつから出せますか?
A. 還付申告は2027年1月1日から出せます。納付がある申告の期限は2027年3月15日(月)です。作成コーナーの公開日は未発表です。
Q. 年間取引報告書の合計をそのまま入れてよいですか?
A. 手数料やスワップが合計に含まれているか、対象期間が合っているかを確かめてから使ってください。分からない点はFX会社のサポートや税務署に確認してください。