FXの確定申告は必要?本人の条件から確認する手順

公開 2026-09-25|更新 2026-09-25|FXの基礎

FX取引のリスク:FXには元本保証がなく、相場の急変などにより預けた証拠金を上回る損失が生じる場合があります。本記事は一般的な情報提供であり、投資助言ではありません。

FXで利益が出ても、確定申告が必要かどうかは「利益が20万円を超えたか」だけでは決まりません。取引の区分、決済した年、給与や年金などほかの所得、所得控除、医療費控除など別の理由で申告するか、過去の損失を繰り越しているかによって判断が変わります。所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合もあります。

この記事は、FXの確定申告が必要かを調べる順番に絞った一般的な案内です。2026年9月24日時点で、国税庁のタックスアンサーは令和8年4月1日現在の法令等を掲載しています。一方、2026年中の所得に対する令和8年分の最終的な申告手引きや作成画面は、申告時期に改めて確認する必要があります。個別の結論は、その年分の国税庁資料、税務署または税理士へ確認してください。申告が必要と分かったら、e-Taxの入力手順と税額の計算例で手続きを確かめられます。

最初に確認する六つの項目

申告の要否を調べるときは、次の順番で事実を並べます。最初から「会社員だから20万円」という一項目だけで判断しないでください。

確認項目 調べる内容 主な資料
1. 対象年 どの年の1月1日から12月31日までか 対象年分の国税庁手引き
2. 取引区分 契約先、登録状況、市場・店頭の区分 契約書面、会社情報、国税庁 No.1521
3. FXの所得金額 決済損益、スワップ、必要経費候補 年間損益報告書、取引履歴、領収書
4. 本人の所得 給与の数、年末調整、年金、事業、副収入 源泉徴収票、各所得の資料
5. 別の申告理由 医療費控除、寄附金控除、住宅関連など 控除証明書、国税庁の案内
6. 損失と住民税 繰越控除の手続、自治体への申告 過去の申告書、1月1日の住所地の案内

国内の登録業者を利用しているつもりでも、契約先や商品区分を確認します。国税庁 No.1521は、金融商品取引法上の市場デリバティブ取引、または第一種金融商品取引業者・登録金融機関を相手方とする一定の店頭デリバティブ取引に該当するFXの差金等決済について、「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の対象になると説明しています。これらに該当しない取引は課税関係が異なる場合があります。詳しい区分はFXの税金の基本を参照してください。

「利益」ではなく、その年の所得金額を整理する

口座残高の増加額、銀行への出金額、含み益の画面表示を、そのまま申告判定の金額にしないでください。まず会社が発行する年間損益報告書や取引履歴で、対象年中に決済した取引、スワップの計上、手数料などを確認します。複数口座がある場合は、会社ごとに対象期間と商品をそろえます。

仮にA社で決済損益がプラス26万円、B社で同じ税務区分の決済損益がマイナス7万円、認められる必要経費が1万円だった場合、単純な説明例では所得金額は18万円です。ただし、実際にA社とB社の損益を通算できるか、費用を必要経費にできるか、スワップがどの時点で含まれるかは個別確認が必要です。銀行へ30万円出金したから所得30万円、という計算にはなりません。

必要経費は「FXに関係しそう」という理由だけで全額を差し引けるとは限りません。国税庁は、雑所得などの必要経費について、総収入金額を得るために直接要した費用や、その年に生じた業務上の費用などを示しています。自宅の通信費やパソコン代には家事利用が混じることがあり、取引記録などに基づいて直接必要な部分を明確に区分できるかが問題になります。領収書、利用目的、按分の根拠を保存し、迷う項目は税務署や税理士へ確認します。

給与所得者の「20万円」を正しく確認する

国税庁 No.1900は、給与を1か所から受け、その全部が源泉徴収の対象である場合、給与所得・退職所得以外の各種所得金額の合計額が20万円を超える人を、確定申告が必要な人の主な例として挙げています。20万円はFXの売買益だけではなく、対象となる給与・退職以外の所得の合計で確認します。また「収入」ではなく「所得金額」を見る点にも注意が必要です。

この規定を「FXは20万円まで非課税」と言い換えてはいけません。給与を二か所から受ける人、給与収入が2,000万円を超える人、年末調整を受けていない人、同族会社の役員、給与以外の所得がある人などは、別の条件を確認します。給与のない学生、専業主婦・主夫、個人事業主などに、給与所得者向けの20万円基準だけを当てはめることもできません。

さらに、医療費控除などを受けるため確定申告をする場合は、20万円以下の給与以外の所得も申告に含める必要があると国税庁は案内しています。「20万円以下だからFXだけ書かなくてよい」と考えず、申告する所得全体を対象年分の案内で確認してください。

ケース別の見方

次の表は、判断手順を示すための例であり、個別の申告義務を確定するものではありません。金額は必要経費などを反映した「所得金額」と仮定し、国内の対象FXを想定しています。実際にはほかの所得、控除、居住状況、取引区分を合わせて判断します。

仮の状況 所得税の確認 追加で確認すること
給与1か所、年末調整済み、FX所得22万円、ほかの所得なし 国税庁が示す20万円超の条件に当てはまるか確認 給与収入額、源泉徴収状況、取引区分
同じ条件でFX所得8万円、確定申告する別の理由なし 確定申告不要の規定に該当し得る 住民税の申告、ほかの所得の有無
FX所得8万円で医療費控除の申告をする 申告するなら8万円も含める扱いを確認 控除資料、ほかの所得すべて
給与のない人にFX所得8万円がある 給与所得者向け20万円基準だけでは判断できない 合計所得、所得控除、ほかの所得、住民税
FXで損失が12万円残った 利益への課税とは別に、繰越控除を使うか検討 損失年からの申告と翌年以後の連続申告
海外所在業者との取引がある 国内対象FXと同じ区分と決めない 契約先、登録、国税庁の対象要件、専門家相談

この表の二行目も、「8万円なら何もしなくてよい」と断定するものではありません。住民税の申告や、ほかの申告理由が残ります。扶養や社会保険への影響も別制度であり、確定申告が不要という結論だけで自動的に影響がなくなるわけではありません。

所得税と住民税を分けて考える

所得税の確定申告書を提出すると、通常はその情報が自治体へ送られるため、同じ内容について住民税申告書を別に提出する必要がない場合があります。一方、所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。住民税には、給与所得者向けの所得税の確定申告不要規定をそのまま当てはめないでください。

大阪市の2026年8月更新の案内では、会社員で給与収入のほかに各種所得があった場合を市民税・府民税申告が必要な例として挙げ、20万円を超える場合は所得税の確定申告が必要と注記しています。これは大阪市の案内例です。実際の提出先、期限、申告不要となる条件は、対象年の1月1日に住所がある市区町村へ確認してください。FXの税金の基本だけでなく、自治体の税務ページも確認する必要があります。

損失が出た年も申告を検討する理由

対象となる「先物取引に係る雑所得等」で損失が残った場合、国税庁は一定の要件のもとで翌年以後3年間にわたり繰り越し、その区分の所得から差し引く制度を案内しています。損失が出た年に税額が発生しないとしても、将来この繰越控除を使いたいなら申告手続が必要です。

国税庁 No.1523によると、損失が生じた年分に申告書付表と計算明細書を添付して確定申告し、その後も連続して所定の申告を行うなどの手続があります。後から利益が出た年だけ申告して、過去の未申告損失を自動的に差し引ける制度ではありません。対象取引、書類、連続申告の要件を対象年分で確認してください。

損失の税務処理を理由に、取引数量を増やしたり年末に無理な取引をしたりする必要はありません。税務上控除できても、損失そのものが返金されるわけではありません。ロスカットの仕組みを確認し、取引リスクと税務手続を分けて考えます。

申告前にそろえる資料

年が明けてから資料を探すと、解約した口座や古い取引履歴を取得できない場合があります。毎月または四半期ごとに保存し、年次報告書と照合できるようにします。

資料 確認すること
年間損益報告書 対象年、商品名、決済損益、スワップ、手数料の範囲
取引履歴 年次合計と合わない場合の明細、決済日
入出金履歴 資金移動と取引利益を区別
必要経費候補の証拠 支払日、金額、取引との関係、家事分との区分
源泉徴収票など 給与の数、年末調整、給与収入
過去の確定申告書 繰越損失、前年以前の申告状況
控除に関する書類 医療費、寄附、保険料など別の申告理由

取引の為替差損益を自分で検算したい場合は、FXの利益と損失の計算を参考にできます。ただし、自分の計算と会社の報告書が違うときは、入出金、未決済評価、スワップ、手数料、対象期間を確認し、自己判断で報告書の数字を書き換えないでください。

2026年分を申告するときの注意

2026年9月24日時点では、国税庁 No.1521、No.1523、No.1900、No.2210はいずれも令和8年4月1日現在法令等として公開されています。これらは現在の判断材料になりますが、2026年分の確定申告を実際に行う時点では、国税庁が公開する令和8年分の申告手引き、様式、確定申告書等作成コーナーの画面、申告期限を再確認してください(国税庁「納付期限と振替日」では、令和8年分の申告・納付期限は2027年3月15日(月))。制度や様式、注記が更新される可能性があります。

前年のブログ記事や古い動画に表示された税率、入力欄、期限をそのまま使わないでください。国税庁のページで対象年分が合っているかを確かめ、分からない場合は年間損益報告書、源泉徴収票、過去の申告書をそろえて税務署または税理士へ相談します。

よくある質問

利益が20万円以下なら確定申告は絶対に不要ですか?

絶対とは言えません。20万円の確定申告不要規定は一定の給与所得者についての条件です。ほかの所得との合計、給与の状況、別の理由で申告するか、住民税申告、損失繰越などを確認してください。

FX口座から出金していなければ申告しなくてよいですか?

出金の有無だけでは判断しません。口座内で決済した取引による損益などを確認します。未決済建玉やスワップの計上方法は、会社の報告書と対象年分の税務案内で確認してください。

損失なら申告は不要ですか?

その年の利益に対する所得税だけを見れば納税が生じない場合がありますが、損失の繰越控除を利用するには所定の確定申告が必要です。対象取引か、過去と今後の申告要件を確認して判断してください。

FXの確定申告が必要かは、対象年、取引区分、所得金額、本人のほかの所得、別の申告理由、損失繰越、住民税を順番に確認すれば整理できます。金額だけの早見表で結論を出さず、対象年分の公式資料へ戻ることが大切です。

参照資料・確認日

本記事は税務上の一般的な確認手順を示す情報であり、個別の申告義務や税額を判定するものではありません。FXは元本保証ではなく、相場急変時には預けた証拠金を超える損失が生じる場合があります。申告時に対象年分の国税庁・自治体の公式資料を確認し、必要に応じて税務署または税理士に相談してください。

関連する記事

FXとは何か|仕組みと株との違いを初心者向けに整理

FXは外国為替証拠金取引の通称です。円と米ドルなど二つの通貨の組み合わせを売買し、為替レートの変化などによって損益が生じます。金融庁は、証拠金を預けて取引する金融商品であり、少額の資金で取引を始められる反面、証拠金以上の