FXの信託保全とは|FX会社が破綻したら証拠金はどうなるかを公式資料で確認

公開・内容確認:2026年10月28日

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結論

FXの信託保全とは、FX会社が顧客から預かった証拠金を、会社自身のお金と分けて信託銀行などに信託しておく仕組みです。国内で登録を受けた業者が個人向けに店頭FXを提供する場合、顧客の預り金を金銭信託で区分管理することが法令で義務付けられています(2009年8月1日施行の内閣府令改正)。

ただし、信託保全は「預けたお金がそのまま全額戻る保証」ではありません。

FXで相場の変動による損失は、信託保全では防げません。信託保全は口座を選ぶときの確認項目の一つとして見て、取引の安全性そのものを保証するものではない点に注意してください。

根拠:金融庁の制度改正

金融庁は2009年7月3日、外国為替証拠金取引(FX)について、業者が顧客から預かった金銭の区分管理の方法を金銭信託に一本化する内閣府令等の改正を公表しました。施行日は2009年8月1日です。同じ改正で、業者にロスカット・ルールの整備・遵守も義務付けられました(既存業者には6か月の経過措置)。

それ以前は、区分管理の方法として金銭信託以外の方法も認められていました。一本化により、会社の財産と顧客の預り金が信託という形で分けられ、会社が破綻しても顧客の預り金が会社の債権者への支払いに回りにくい仕組みになりました。

項目内容
対象店頭FXなどで業者が顧客から預かった証拠金
方法信託銀行・銀行などへの金銭信託(会社の財産と分ける)
施行日2009年8月1日(ロスカット・ルールの義務化と同時)
破綻時受益者代理人を通じて顧客に返還される仕組みが一般的

信託保全の仕組み

多くのFX会社は、次の流れで信託保全を運用しています。会社によって細部が異なるため、実際には口座を開く会社の「信託保全」「資産の保全」ページで確認します。

  1. 毎営業日に要保全額を計算する:顧客の預託証拠金に、ポジションの評価損益などを反映した「保全が必要な金額」を計算します。
  2. 信託額と比べ、不足があれば追加信託する:信託している金額が要保全額を下回っていれば、追加で信託します。
  3. 会社が破綻した場合:顧客のポジションを決済し、決済後の金額に応じて、受益者代理人を通じて信託財産から顧客に返還します。

たとえば、ある会社は信託先として複数の銀行・信託会社を挙げ、毎銀行営業日に要保全額を確認して報告し、不足があれば追加信託すると説明しています。同時に、信託保全額を正しく算出できない場合は証拠金の一部が返還されないことがあるとも注記しています。

計算例:返ってくる金額の考え方

証拠金10万円を預け、ドル円の買いポジションに1万2,000円の評価損が出ている状態で会社が破綻したとします(手数料・スワップ等は考えません)。

項目金額
預託した証拠金100,000円
ポジションの評価損益-12,000円
決済後の金額(返還の対象となる考え方)100,000円-12,000円=88,000円

実際の返還額は、破綻時の決済価格、信託額の計算、手続きの状況などで変わります。この例は考え方を示すためのものです。

似た言葉との違い

FX会社の説明では、似た言葉がいくつか使われます。意味が違うので整理しておきます。

言葉意味FXでの位置づけ
信託保全顧客の預り金を信託銀行などに信託し、会社の財産と法的に分けること国内の店頭FXでは、金銭信託による区分管理が義務
分別管理(区分管理)顧客の資産と会社の資産を分けて管理すること全般FXでは、その方法が金銭信託に一本化されている
全額信託保全保全すべき金額の全部を信託対象にしていると会社が説明する表現計算の対象や頻度は会社の説明で確認する
取引所への預託取引所FXで、取扱会社が預かった証拠金を取引所に預ける仕組みくりっく365が該当
投資者保護基金証券会社が破綻し、分別管理の不備で資産が返還できない場合に一定額を補償する制度FX(店頭デリバティブ取引)は補償対象外

口座開設の画面や説明書面では、これらの言葉が並んで出てくることがあります。「どの資産が、どの仕組みで守られているか」を一つずつ確認すると、誤解を避けられます。

あわせて確認したい「自己資本規制比率」

信託保全が「破綻したときの備え」なら、自己資本規制比率は「破綻しにくさ」を見る目安の一つです。FX会社(第一種金融商品取引業者)は、金融商品取引法第46条の6により、自己資本規制比率を120%を下回らないように維持しなければならないとされています。比率が基準を下回ると、行政処分の対象になり得ます。

口座を選ぶときの確認手順

  1. 金融庁の登録業者か確認する:金融庁「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」で、金融商品取引業者として登録されているかを確認します。無登録の海外業者には、国内の信託保全の義務は適用されません(FX詐欺の見分け方)。
  2. 信託保全のページを読む:信託先の名称、受益者代理人、計算の頻度、破綻時の返還の流れが書かれているかを確認します。
  3. 自己資本規制比率を確認する:直近の数値と公表時期を見ます。
  4. ロスカットのルールを確認する:信託保全があっても、相場の急変でロスカットが間に合わず、証拠金を超える損失が出る可能性があります(ロスカットとは、FXで借金になるリスク)。
  5. コスト・取引単位と並べて比べる:保全の仕組みは多くの国内業者で共通部分が大きいため、最終的には取引単位・スプレッド・注文機能もあわせて比較します(FX口座の選び方、FX口座比較)。

注意点

よくある質問

FX会社が倒産したら、預けたお金は全額戻りますか?

全額が戻るとは限りません。国内の登録業者には証拠金の信託保全が義務付けられていますが、返還されるのはポジションの評価損益を反映した後の金額で、計算の時点によっては一部が返還されない可能性もあります。

信託保全は国内のFX会社ならどこでも同じですか?

金銭信託で区分管理する義務は共通ですが、信託先、受益者代理人、計算や追加信託の運用は会社によって異なります。各社の公式ページで確認してください。

FXは投資者保護基金で補償されますか?

FX(店頭デリバティブ取引)は、日本投資者保護基金の補償対象外とされています。証券会社がFXを提供している場合も同様です。詳細は同基金の公式情報で確認してください。

自己資本規制比率は何%あれば安心ですか?

法令上の基準は120%以上ですが、何%なら安心という公的な目安はありません。数値の推移や決算の開示とあわせて確認する項目です。

出典

※この記事は制度の説明で、特定の取引や会社をすすめるものではありません。FXは元本が保証されず、預けた証拠金を超える損失が出る可能性があります。

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