FXの損益通算|対象になる取引とならない所得の確認

公開 2026-09-25|更新 2026-09-25|FXの基礎

FX取引のリスク:FXには元本保証がなく、相場の急変などにより預けた証拠金を上回る損失が生じる場合があります。本記事は一般的な情報提供であり、投資助言ではありません。

FXの損益通算では、「何の利益と何の損失を相殺できるか」を税務上の区分で確認します。国内の一定のFXで生じた損失は、他の「先物取引に係る雑所得等」の金額との通算が可能です。一方、給与所得、通常の事業所得、株式の譲渡所得、対象外の海外FXなどと自由に相殺できるわけではありません。

同じ年にA社で利益、B社で損失があっても、両方が同じ対象区分かを先に確かめます。会社名や商品名だけで判断せず、契約相手、金融商品取引業者としての登録、取引の法的区分、差金等決済の時期を資料で確認してください。

「口座内の相殺」と「税務上の損益通算」を分ける

一つのFX口座では、年間報告書に各取引の利益と損失を合計した数字が表示されます。これは年間損益を整理する資料です。税務上の損益通算は、複数の取引や商品を所得区分に沿って集計する手続であり、銀行口座の入出金差額を計算することではありません。

言葉 対象 主な確認資料
取引ごとの損益 一回の決済 約定履歴
口座の年間損益 一社・一商品の年次合計 年間損益報告書
同年の損益通算 税務上同じ対象区分の複数取引 各社報告書、計算明細書
損失の繰越控除 通算後も残る対象損失 確定申告書、付表、前年控え

入金額は利益ではなく、出金額は損失ではありません。未決済建玉の評価損益も、年次報告書の確定損益と区別します。FXの利益と損失の計算は取引計算の確認に使い、税務区分は国税庁資料で確認します。

通算対象を調べる順番

国税庁 No.1521とNo.1522は、金融商品取引法上の一定の市場デリバティブ取引や、第一種金融商品取引業者または登録金融機関を相手方とする一定の店頭デリバティブ取引を説明しています。個人の一般的な国内FXが該当することはありますが、「FX」という名称だけで全商品を一括りにできません。

  1. 契約先の正式名称と登録番号を確認する。
  2. 商品が店頭FX、取引所FX、CFD、オプション等のどれか確認する。
  3. 国税庁の対象取引の範囲と照合する。
  4. 各口座の年間損益報告書を同じ年分でそろえる。
  5. 対象区分の利益、損失、必要経費を一覧にする。
  6. 対象外と判断した取引は別表に残し、理由と資料を記録する。

判断に迷う商品を都合よく通算へ含めず、契約書面を持って税務署または税理士へ確認します。

通算できる可能性がある例

同じ「先物取引に係る雑所得等」の課税特例の対象となる取引同士であれば、同一年の利益と損失を通算できる可能性があります。国内FXの複数口座、対象となる商品先物や金融商品先物などが候補になりますが、個々の商品が対象範囲に入るかは国税庁 No.1522と契約内容で確かめます。

仮に、同年に対象となる国内FXのA口座で20万円の利益、B口座で8万円の損失があり、ほかに対象取引も費用もない場合、通算後は12万円という計算になります。B口座の損失を見落とせば過大な数字となり、A口座の利益だけを見ずに全口座を確認する理由が分かります。

反対に、A口座で8万円の利益、B口座で20万円の損失なら、単純な合計は12万円の損失です。対象要件を満たし、同区分の他取引と通算後も残る損失は、所定の申告により損失繰越を検討します。例の数字は税額や申告要否を示すものではありません。

通算できないと考えるべき代表例

国税庁は、「先物取引に係る雑所得等」の損失を、その区分以外の所得金額とは損益通算できないと説明しています。反対方向の相殺もできません。

相手となる所得・損失 国内対象FXとの扱いの基本 確認点
給与所得 通算できない 給与からFX損失を引かない
通常の事業・不動産所得 自由に通算できない 所得区分を分ける
株式等の譲渡損益 別の申告分離課税区分 株式の制度と混同しない
暗号資産の損益 通常は別区分の確認が必要 雑所得という語だけでまとめない
対象外の海外FX 課税関係が異なる可能性 契約先・登録・商品区分を確認
未決済の含み損益 確定損益と区別 年次報告書の集計範囲を読む

「雑所得同士なら全部通算できる」「投資同士なら通算できる」という覚え方は危険です。FXの税金の基本で全体像を確認し、当年分の国税庁資料へ戻ります。

国内FXと海外FXを混ぜない

国税庁 No.1521は、対象となる市場デリバティブ取引・店頭デリバティブ取引に該当しない取引の差益について、一般に雑所得として総合課税の対象となる場合があると説明しています。また、その損失は申告分離課税の「先物取引に係る雑所得等」と通算できないとしています。

海外サイトでも国内法人が登録業者として提供する商品がある一方、日本語サイトでも契約先が海外法人の場合があります。「海外FX」という広告上の呼び方だけで結論を出さず、利用規約と契約相手を確認します。ボーナス、クレジット、ゼロカットなど固有項目の税務処理も一般化せず、個別に相談してください。

必要経費を差し引く位置

対象となるFX所得は、確定した取引損益だけでなく、収入を得るために直接要したと説明できる必要経費を含めて計算します。ただし、パソコン、通信費、書籍代などを支払えば全額が自動的に経費になるわけではありません。私用と共用なら合理的な基準で区分し、領収書と計算根拠を残します。

各社の年間損益報告書ですでに取引手数料が控除されている場合、同じ金額を再度必要経費として差し引けば二重計上です。報告書の内訳を確認し、経費一覧に「年次合計へ含まれるか」の列を設けます。

複数口座の集計表

列 記録内容
契約先・商品 正式名称とサービス名
税務区分 判断に使った国税庁ページ
年間確定損益 年次報告書の金額
スワップ・手数料 合計に含まれるか
必要経費候補 金額、用途、配分根拠
証拠資料 PDF名、領収書、保存先
未確認事項 税務署等へ尋ねる内容

口座を解約する前に過去の報告書を保存します。年次報告書がまだ発行されていない時期は取引履歴で暫定集計し、発行後に必ず照合します。表計算の数式セルと手入力セルを分け、転記ミスを確認してください。

よくある質問

A社の利益とB社の損失は通算できますか

両方が同じ対象区分で同じ年分なら可能性があります。会社が違うことだけでは決まりません。契約先・商品区分と各社の年間報告書を確認します。

FXの損失を給与から引けますか

国税庁は、申告分離課税の「先物取引に係る雑所得等」の損失を、それ以外の所得と損益通算できないと説明しています。給与所得から差し引くものではありません。

株の利益とFXの損失を相殺できますか

一般的な株式等の譲渡所得と対象FXは別の課税区分です。「申告分離課税」という共通語だけでまとめないでください。

通算後に損失が残ったらどうしますか

一定の要件を満たせば翌年以後3年間の繰越控除を検討できます。損失発生年からの確定申告と、その後の連続申告などの要件を確認します。

申告前チェックリスト

  • すべての口座と商品を一覧にした
  • 各契約先と取引区分を確認した
  • 同じ年分の年間報告書を集めた
  • 同区分と対象外を別々に集計した
  • 手数料と経費を二重に控除していない
  • 未決済評価と確定損益を混同していない
  • 通算後の損失繰越手続を確認した

税務上通算できるかどうかと、取引で取るべきリスクは別です。税金を減らす目的で損失を作る取引は、損失そのものを増やす可能性があります。FXは元本保証ではなく、証拠金維持率やロスカットがあっても証拠金を超える損失が生じ得ます。

参照資料・確認日

制度、様式、税率は更新されます。この記事だけで個別の申告額を決めず、対象年分の国税庁資料を確認し、判断が難しければ税務署または税理士へ相談してください。

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